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読書

小谷野修 男子の処世


         プロイセンの参謀総長モルトケが推薦したメッケルが明治維新後に日本に来て、陸軍大学校の教官になり、その教え子に、第三期生の、この本の主人公・松川敏胤がいて、日露戦争で大活躍したということです。当時のヨーロッパではイギリスもフランスも、とりわけ国境に接しているプロシャなどの仮想敵国はロシアです。智謀のモルトケは反対側からロシアを日本が攻撃することを期待していたのでしょう。子飼いのメッケルを日本に送り、みっちりと戦争の仕方を教えてくれています。何しろ当時のヨーロッパは戦争ばかりしていたのですから、戦争の先進国ばかりで、これをマスターしないとロシアには勝てなかったでしょう。

ベトナムのカムラン湾でバルチック艦隊が補給しているのを見たのが、儒学者ファン・ボイ・チャウであり、しばらくたって、このバルチック艦隊が日本によって滅ぼされたというニュースを聞いて、何と日本はすごい国だと思い、フランスから独立するためには日本の力を借りないといけないと思うようになっています。インドのネールも有色人種がはじめて白色人種に勝ったということに感激しています。ロシアに国を狭められたトルコもビールに東郷という名をつけています。このときの日本は東洋の星というべきもので、朝鮮、中国、東南アジアからインドまで留学生が押し寄せてきます。この先、日本が消滅しても、日本がいたからアジアは欧米列国の重圧から解放されたのだという歴史的事実は年表に記載されていることでしょう。アフリカ大陸に日本国のような国がいなかったから、現在も混乱しています。しかしアジアでは日本がいたから、これを見本にして、韓国や中国が近代化に成功しています。韓国などはこれを認めたくないようですが、東南アジアの指導者の中には、日本が近くにいたから韓国は成功したのだという人もいます。ありがたい言葉です。もはや日本は衰退期に入っているようですから、松川敏胤ように第一線を退いたら、日々畑を耕し、静かに読書し、他国からの毀誉褒貶に患わさせることなく、従容として死致に向かうようでないといけません。

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