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「大活字本シリーズ」ということで、普通の文庫本の活字より2倍も大きい活字になっています。年寄り向きの本でしょう。ありがたいような、ありがたくないような、寝て読む本では重すぎます。
森鴎外は文学の上では頂点に登り詰めましたが、陸軍という公務員の世界では頂点まで届きませんでした。軍では二股をかける鴎外に快く思っている人はいないようです。鴎外自身は文学者に似合わず、出世を願い、それができなかったものですから、遺書では「余は石見人森林太郎として死せんと欲す」とあります。著者にはこれが男爵になれなかった森鴎外のいやみであると言っています。公務員の世界では今も出世が生きがいのようであります。仕事の中味よりはいかに高い位置に上るかがエリート官僚の目標です。歴史上燦然と輝くような官僚などいません。森鴎外も文学の上で生き残っているのであって、エリート官僚であるかどうかはどうでもいいのです。いずれにしても官僚であってもその他の職業人であっても、生前どのような仕事をしたのかでその中味をとわれるのであって、高い位置かどうかは余り没後には問われないような気もします。