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山崎啓明 盗まれた最高機密

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山崎啓明 盗まれた最高機密


     セオドア・ホールがソ連に原爆の製作のキーポイント・「爆縮」の方法を教えたのです。彼は飛び級で18歳でハーバード大学を卒業し、ロスアラモス研究所に入り、「マンハッタン計画」では最年少の研究者です。第二次世界大戦末期、アメリカが原子爆弾の開発に唯一成功しました。広島、長崎に原爆を落としたのは、何も日本の降伏を早めることではありません。この大戦が終わった後の世界を見据えているのです。ソ連への恫喝です。ソ連もドイツの科学者を引き抜いて、原爆開発に当たらせますが、なかなかうまくいきません。原爆の開発にも関わった数学者のノイマンは、戦後ソ連が核兵器を持たないうちに先制核攻撃をすべしと提案していました。世界はアメリカの一人勝ちになると読んでいたようです。ノイマンと違って、セオドア・ホールは「均衡」によってこそ世界の平和は保たれると考え、原爆の秘密を教え、それによってソ連も原爆が作れるようになりました。19歳の青年がこの時代に核バランスの上での平和を考えていたというのは驚きです。天才の考えることは何十年か先を読んでいるということが分かります。セオドア・ホールは1944年の10月、休暇をとってロスアラモスからニューヨークへ行き、ロシヤのジャーナリスト・セルゲイ・クルナコフに「爆縮」の数式を書いたメモを渡したのです。

もしアメリカだけが核兵器を持っていて他の国が持っていないという世界を想像してみたら、この国の生い立ちから見て、とんでもないことになるのではないかと思われます。あくなき欲望のかたまりで、アメリカ大陸を銃と鉄道で席捲したように、自分らの思いのままにするでしょう。逆らうものはリンチされるでしょう。いまだに銃規制が唱えられても、それができないのは彼らが過去犯した暴虐のかずかずから反抗心が起こってきて、襲われないかという心配から、銃を離せないのです。インディアンや黒人奴隷や戦争で殺した無辜のアジア人の亡霊に怯えているのです。

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