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山田昌弘 幸福の方程式

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山田昌弘 幸福の方程式


             売れる商品とは「物語」が必要だと言っています。戦後から1980年までは「豊かな家族に必要なモノを揃えていくこと」という物語でモノが売れていたのです。テレビも洗濯機も自動車もそうです。その手先として電通などの広告会社が「物語」を作り、その商品がないと家族の幸福は得られないと脅迫めいたコマーシャルを作っていたのでしょう。ところがバブルが弾け、家族物語の主体者・世帯主の収入の上昇が望めなくなり、反対に減退し不安定になると、そのような「家族物語」はもはや語ることが出来ません。それに代わり「ブランド」の「物語」が「家族」に代わって「個人」に向かいます。豊かであろうが、貧しいであろうが、「家族」のための消費はもはや何らの感動をもたらすことがありません。その物語は陳腐になったということです。ところがこの「ブランド物語」の「主役」は結婚までのパラサイト・シングルで、「結婚して家族の物語つくることを前提としたつなぎのためのプチ幸福」を願うために、暫定的にブランドを買っていたに過ぎないのです。

現在においては「商品」そのものが物語を創生することはできません。と言うよりは、このゼロ成長時代「幸福を生み出すと期待される商品」に「期待が持てなくなっている」ということになります。「家族物語」も「ブランド物語」も飛散して跡形もなくなっています。今からの商品はそれら「幸福物語」の中心いるものではなく、これらの物語を「サポートする」周辺部に存在するようなものになるでしょう。

この本の結論として、

「モノを所有する幸福を求めているのではなくて、モノを所有する先にある幸福を得るための手段として消費するようになってきたのです」

と、いうことで、ますます現在売れる商品の混迷度は深まっています。

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