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渥美清が死んでもう21年になります。68歳で亡くなっています。私は彼よりも一年も長く生き残っています。何時まで生きるかもしれませんが、何時死んでも不思議の無い歳になっています。「男はつらいよ」に出た俳優のほとんどが死んでいます。生き残っているのは「さくら」か「蛾女郎」くらいなものでしょう。
川本三郎はこの寅さん映画を「ロードムービー」だと言っています。とりわけ日本の鉄道が蒸気機関車からジーゼル機関や電気機関車に変わる頃の、最後の蒸気機関車の勇壮を留めている映画でもあると言っています。「動態保存」と表現し、ローカルな線路や駅舎、それに爆走する「デコイチ」などを映画にとっています。今ではそれらのほとんどが廃線になり、線路や駅舎も残っているところは少なくなっています。まさしく「つわものどもの夢の跡」になっているのです。この「夢の跡」すら我々の年代が死に絶えると、跡形もなくなるでしょう。現在辛うじて我々の頭の中でのみ、寅さんが活躍した時代の風景が残っているだけですから、これらが死に絶えると、リアルに思い出せることはなく、意識的に探さない限り、埃に覆われ、へたをすると誰も見ようとはしない文献になりおおせているかもしれないのです。我々のように未来より過去に大きなものを抱えている人間にとって、これらが一切亡くなると思うと、無常を感じないわけにはいけません。