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長井好弘 落語と川柳

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長井好弘 落語と川柳


         川柳は落語の枕にもなり、また落語家も川柳を作っています。

「干物では秋刀魚は鯵にかなわない」

志ん生が作った句です。飄々としてどこかおもしろい。

「寂として生唾を呑むエロ映画」

これは小さんで、昭和時代エロ映画は貴重なものだと分かります。

「松茸をよる女房の年増振ぶり」(柳枝)

何となく笑えます。

「競輪の帰りに自転車を見ると腹が立ち」(三木助)

この気持ちもよくわかります。

「食いつぶすやつに限って歯を磨き」

江戸時代の川柳で、江戸の洒落者は房楊枝で歯を磨き、花魁に好かれようとしたのでしょう。口の臭い男はもてません。

「江戸っ子の生まれ損ない金を貯め」

宵越しのゼニはもたねーという江戸っ子の資質に反しています。

「新婚は夜することを昼にする」

これは今日でも通じる句でしょう。房事が多寡になると、

「看病が美しいので匙を投げ」

「次の間で毒が薬を煎じてる」

「何よりもそばが毒だと医者がいい」

いまはインターネットでバイブレターを買いますが、江戸時代では、小間物屋が荷を担いで売っていました。

「長いのははやりませんと小間物屋」

「小間物屋ニョキニョキと出して見せ」

「生き物のように扱う小間物屋」

なかなか手つきもよろしかったのでしょう。

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