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川本三郎 映画の昭和の雑貨店

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川本三郎 映画の昭和の雑貨店


       映画の黄金期昭和20年代30年代の映画を解説しています。映画に出てくる風景や、女優、物を見ると、「涙なくしてはみられない」状態になります。今ではそういった風景も、美しい女優も、当時ではピカピカした物もなくなっています。この本の中でのスティール写真を見ると、私の父や母ががんばった時代がそっくり映画に残っているような気がしてきます。豊かになりたいという気持ちが映画にみなぎっています。その分当時の日本がいかに貧しかったがわかるのです。恋人たちの夢がステンレスのフライパンであったり、自活のためのミシンだったり、郊外の家だったり、コンクリート作りの家だったりするのです。

「三益愛子は、溝口健二監督の赤線地帯(昭和31年)では、一人息子の成長を楽しみにしている年のいった娼婦をえんじたが、そこでの彼女のささやかな夢は、いつか息子と二人で鉄筋コンクリートの家に住みたいだった。・・・そして哀れにも、息子に嫌われて頭がおかしくなり、精神病院という鉄筋コンクリートの家に入れられてしまう」

「キューポラのある街」の吉永小百合も少女然として、荒川の土手で初潮を迎えるシーンがあるときいて、そのようなものがあったかと改めて気づかされます。ぼっとして小百合を見とれていたのでしょう。高峰秀子、小暮美千代も若いときの一番きれいな時を写真に焼き付けています。今私には少ない将来しかありませんが、過去は半世紀以上にもなり、そこに沈潜して牛のように思い出を反芻しているのです。

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