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読書

幸田露伴 印度の古話


        これはインターネットの青春文庫から電子書籍Koboにダウンロードしたものです。図書館が休みで、時には明治の文豪のものを読んでみようという気になったのです。無料のものをいろいろダウンロードしていますが、著作権のものが切れたものが多いのですから、自然と明治時代や大正のものが多くなります。

「印度の古話」では二つの話が載っています。裕福な親を持つ二人の兄弟の話では、親が死んで、弟が嫁をもらうと、その嫁の入れ知恵で財産をわけることになります。弟はたびたび失敗して兄に援助を受けることになります。兄も限界が来て、弟をしかりつけます。それによって弟は奮発し金持ちになりますが、兄は反対に貧しくなります。今度は兄が弟にカネを無心しますが、弟は拒絶されたことを根に持ってカネを貸しません。それで兄は世をはかなんで、僧になります。そのうち弟もまた貧乏になり、薪売りまで落ちぶれます。兄に薄情なことをしたためだと悟ります。何年かたち、お互いに相手がわからないで出会います。弟はあったわずかばかりの稗を与えます。兄は弟とは知らず感謝して受け取ります。その後弟が薪を取りに山に入るとウサギにあいます。それを棒で撃ち殺すと、それが死者になって弟の体に取り付きます。そのまま家に帰るとその死者は黄金に変わり、また再び裕福になったという話です。「情けは人のためならず」ということわざを地で行ったような話です。

もう一つは姨捨の話です。ここでは婆ではなく、爺ですが、国の法律で役に立たない爺オバは山に捨てることを決めています。一人の大臣に爺がいましたが、山に捨てるのがしのびないので、家の地下に匿います。時に天から神が降りて、国王に難問をなげかけ、これが解けなければ国を破壊すると言います。その難問をことごとく解いたのが地下に匿われた爺です。国王はその事実を知って、姨捨山の法律を止めることしたという話です。アフリカのことわざに老人は図書館であるというものがあります。でも昨今の事情をかんがみると、老人の知恵など一種のバイアスに過ぎないのでないかと思われて仕方ありません。

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