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精神科医は精神科の患者と同じようなものであるから精神科医になったと言う説があると、春日自身が言っています。また春日自身も、親が豊かなのでコンビニでアルバイトなどしたことがなく、たぶん小さいころから勉強をし、親の言うとおり、医学部に入り、すんなりとそこを卒業したのでしょう。社会的経験も乏しく、医学書で聞き知ったことと、臨床で出会う患者の状況を見て、人間と社会はこういうものかと想像するだけです。たぶん性の悪い女と出会うこともなく、知的レベルと同じ育ちのいい女性と結婚もしているのでしょう。身内にはヤクザもいなければ、売春婦などもいないでしょう。精神病患者はある面精神の狭窄であるのですから、医者になるためには一心不乱に勉学をし、長い隔離をしいられるのですから、これも一種の精神の狭窄であります。おなじ精神の狭窄者でありますが、一方は人生の脱落者、一方は人生の成功者と別れるのはおもしろいことであります。
精神病患者の考えることは妄想といわれ、精神科医が考えることは学説といわれます。フロイトの学説も今では妄想ではないかといわれています。最新の精神病の学説も将来には妄想であるといわれる可能性もあります。医学の治療法には毒には毒をもってというものがあります。精神病患者にはその素質を十分に持っている精神科医を当たらせると効果があるというのも頷かされます。
「妄想」は「物語」と言い換えることが出来ます。「破綻をきたした物語」は妄想といわれますが、この妄想で精神病者はある種の安定を得ています。たとえ間違っていても「天動説」に安住すると、それによって世の中のことが説明することができるような気になります。中世はこれで1000年も続いていたのです。それが突然地動説と言われたら、天地がひっくり返る思いがするでしょう。天動説から地動説に変えることは精神病学的に言えば、「人格」を変えるということです。精神病が「治る」ということは脳がそっくり入れ替わると同じことです。これはとても難しいことです。新しい地動説に慣れるためには「現状との和解」が必要となり、そのためには「長い時間」がかかります。だから春日は精神病は「スッキリ治る」ことはないと言っています。