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橋本治 古典を読んでみましょう

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橋本治 古典を読んでみましょう


     室町時代の浦島太郎は玉手箱を開けると爺さんになったというのではなく、鶴になって大空に飛んでいくということになっています。爺さんになるのは江戸時代で、朱子学からの影響で、若いときからチャラチャラ遊んでいるとトシをとったときに大変な目に合うぞという脅しの話に変わります。室町時代の浦島太郎では亀が女性に化けて、助けたお礼に妻になっています。玉手箱を開けて鶴になったのも、鶴は千年、亀は万年という長寿のことで、他者を親切にすると、いいお返しがくるのだという教訓談です。このように古典を読むことは、その時代のいろいろなことを知る結果になるのです。橋本治はそれを「智解」といっています。この「智解」は愚管抄を書いた慈円が使っていた言葉です。

「本を読むということは、なにが書いてあるのかよくわからないことを、探り探り読んで行くことでもあるのです。探り探り読んで行って、探り探り読んで行くことになれる――そうやって身につけるものが、愚管抄で慈円の言った、わかって行く能力、つまり智解です」

古典も外国語の一種と思い、辞書を引き引き読むことで、本の中味以外に、その時代に関わる諸々の知識も手に入れることができるのです。浦島太郎の話の内容が変って行ったのは、江戸時代になり武士政権が確立すると、衆生の救済よりは、殿に対する忠義のほうが重きを置かれることになったのでしょう。

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