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読書

殿山泰司 三文役者の無責任放言録


        銀座服部時計店の裏で、殿山泰司の父親と義理の母親が「お多幸」というオデン屋をはじめ、泰司は京橋にあった泰明小学校に通っています。泰明小学校の卒業者に学者の池田弥三郎がいます。泰司の一年先輩です。弥三郎は銀座のてんぷら屋の天金の長男です。オデンとてんぷらでは格差があるように、泰司はこの小学校では何ももらえなかったが、弥三郎は卒業生総代になって校長から記念品をもらっています。弥三郎は慶応の教授、泰司は役者、それぞれの世界で名を遂げたということになります。

泰司は小学生時代寂しさから産みの母親がいる神戸に3度も父親の財布からカネをくすねて家出しています。その都度父親が迎えに来ています。家出がやまったのは産みの母親が再婚したということを聞いてからです。泰司の女狂いは父親譲りです。泰司の父親はカフェのいい女と会うために泰司を連れて行っていました。義理の母親に疑われないためです。デレデレしている父親を見て育ったので、泰司も女の前ではだらしないのです。

新藤監督の映画「母」で、広島に一ヶ月もいたことがあります。酒と女に目のない泰司は大いに流川で羽を伸ばしています。伸ばしすぎて飲み屋に借金が溜まり、自分を3万円でバーのママさんに売ることを思いつきましたが、どんなママも買ってくれません。3000円で買ってもいい女もいましたが、これは冗談なのでしょう。水商売の女はしっかりしていますから、反対に寝ようものなら3万円を請求されるでしょう。広島では先代のカープのオーナー松田社長に酒を飲ましてもらっています。日本で最も男らしいところは広島だと褒めています。マージャン仲間に、マツダの宣伝部のエライサン「横山氏」、材木商の「和泉氏」、東亜航空の社長の「松下氏」、第一広告広島支店長「山尾氏」、男ではありませんが、「赤毛布」のママなどがいて、大いに広島の夜を楽しんでいます。それぞれに子孫がいることでしょうから、この泰司の褒め言葉で自分の父親や母親がいかに大物であったかを知ることができるでしょう。

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