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読書

田中雅一 癒しとイヤラシ


        文化人類学とは身をもって現地に入り、そこでの人間関係や社会のあり方を調べていく学問であるらしい。物理学では実験が、この文化人類学ではフィールドワークがこの学問の基礎になっています。田中雅一は日本のセックスという「現地」にフィールドワークを仕掛けたわけです。風俗嬢やAV女優らが書いたものを読み込むという、文化人類学では一次的なこと、文献・資料を集め読み込むことはしていますが、現地に入り、直接人物に会って話しをしたり、身を持ってセックスを体験したりすることはありません。たとえAV女優が男と女との境界がなくなり、まるで核融合のように男と女が交じり合って、そこから強力な光が出てくるのだという説明を紹介し、あたかもそれがまことであるような同感を開陳していますが、どうもそれは解説者や評論家のような、身に覚えもないくせに、無責任に言い張り、自説を補強しているだけだと思えて仕方ありません。田中雅一の自説と言っても、私にはよくわからないのですが、自分自身のセックスライフを語らないで、そういうものを語ると言うのは、曖昧というか、はっきりしないというか、論旨が明確ではないということになるでしょう。もともとセックスというものは曖昧なものですから、百人おれば百人の意見があると思われるので、文化人類学もああでもないかこうでもないかとさ迷うのがこの学問の宿命かとも思われてきます。

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