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石森大知 太平洋諸島の歴史を知るための60章

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石森大知 太平洋諸島の歴史を知るための60章


     私の父は陸軍の通信兵で、終戦時にはパプアニューギニアのラバウルというところにいました。現地の土人たちと一緒にタロイモを栽培して食糧自給に努めていました。土人の酋長が日本に帰らなくてここにいろと説得されましたが、連合軍の規律で日本人兵士はみな国に返されました。もしラバウルにい続けたら、私はこの世に生まれなかったでしょう。私の父はよく土人にタバコを進呈していたようです。それで仲良くなったのでしょう。土人の作物を取ったりする日本兵がいたものですから、私の父は酋長に、「ジャパニーズ、ナンバー、テン(10番=最低)」というと、酋長は「キャップテン、ナンバーワン」と言い返してくれて、英語も習ったことがないのに、テンとかワンとかで意思疎通をとっていたようです。

この太平洋諸島で日本とアメリカ連合軍とが戦争したのですから、ここの住んでいる人々は大迷惑だったでしょう。どちらとも足ることを知らない欲の強いもの同士ですから、原住民には理解しがたいものがあったでしょう。かつてオランダイギリスフランスドイツなどがこれらの諸島を占拠し、植民地を作り、現地人を働かしたのですが、働かしすぎて人口が減り、とうとう現地人は働く意欲がなくなり、それではということで、アフリカから黒人を奴隷として連れ出したように、中国人、インド人、日本人を雇い入れてプランテーションで働かしたのです。やがて日本が力をつけてこの地から植民地主義者を追っ払いますが、すぐさま返り討ちに会い、再び植民地主義者が戻ってきますが、戦争を観察し、自分でも実戦を経験し、自信を持った原住民たちが再びこれら植民地主義者が返り咲くことを拒否したのです。私の父のように原住民にタバコを進呈するということは、欧米の植民地主義者には考えられないことで、野蛮人ぐらいに思っていて、働かさせてなんぼというくらいで、収奪すること以外関係を持とうとしない人々ですから、父のように一緒にタバコをふかして、ナンバーテン、ナンバーワンなど話し合っていれば、情が通うものです。

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