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花登筐 道頓堀

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花登筐 道頓堀


    演劇シナリオライターの花登筐が道頓堀界隈の風情や芸人など書いた随筆かと思っていましたが、小説でした。日露、満州などが出てくるので、明治から昭和初期ごろの時代設定です。その頃には芝居茶屋というものがあって、今の相撲茶屋と同じことですが、「大忠」という芝居茶屋の二世代にわたる愛憎物語です。昔の芝居見物は一日がかりの物見遊山的なものであって、芝居を見ながら芝居茶屋からの差し入れの弁当を食べたり、小屋が引けたら芝居茶屋で宴会などしていました。万事のんびりとした時代でありましたが、この小説で二代目のころからは、シネマができたりして、芝居茶屋の存在そのものの意義がなくなり、商売替えをしています。またこの時代には水屋という商売もあり、飲み水を売って歩く商人もいました。この小説の登場人物の一人でもあります。この小説に出てくる男はどれもこれもどうしようもない男ばかりで、唯一広島県から来た置き薬屋がまじめで女性から信頼される男になっています。私の父もよく言っていました。兵隊で一番弱いのは大阪の連隊だと。しかしよく考えると、大阪人の方が広島人より知識が高く、天皇陛下に滅私奉公するといったものは建前だけであって、天皇のために死ぬことなどは馬鹿らしいと思っていたのでしょう。チャランポランに生きていた大阪人は自分の欲望だけには忠実だったのでしょう。それで女たちはこのような男たちによって苦労させられるといった小説です。

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