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荻原魚雷 書生の処世

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荻原魚雷 書生の処世


         大学を中退し、まともな仕事に就かず、フリーのライターとして、食うや食わずの生活を強いられ、最近やっと余裕が出来、キンドルを買い、キャッシュカードも作り、しかし女を養うほどの収入がないので、結婚もできず、「インスタントラーメンがうまくできたことで」幸せを感じる、慎ましい生活をしています。中途半端な人間として、中途半端な人間がなしえることを日夜酒を飲みながら、探求しているようにも思えます。優秀な人は仕事ができるので、閑がありません。その点中途半端な人は仕事など任せられないので、おのずと閑ができやすい。荻原魚雷はこの閑を本を読むことに徹しています。しかしこのような状態に悔悟の念も生じています。

「なるべく他人と競合せず、どうにか食っていける方法はないかと長考した。その結果、考えているばかりいて働かないと貧乏になることがわかった。・・・世の中をなめていたツケが、どんどんたまってくる。変わりたくても変われない自分に嫌気が差す。使い捨てられることを心配するより、そもそも使ってすらもらえない身であることを案じるべきだった」

それ故彼の読書の傾向は、ライターが「無職並びにプータローの経験」がある作家に好感を抱いているものになっています。似たものの苦悩を読んで共感しているのでしょう。で、彼は「優秀な人」が「やらないこと」や「やりたがらないもの」に注目し、そこに「半人前」の人間は足場を求め、そこを耕していくべきだと言っています。その成果がこの本ということなのでしょう。マイナーな作家の名前も出ていて、「読書のプロ」兼「貧民の代表」といった風格もできつつあります。

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