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許篈は1551~1588年に生きた人で、科挙に受かり、政治を担い、明まで外交員として行っています。弟には許筠というものがいて、朝鮮で初めてハングルで「洪吉童伝」という小説を書いています。妹には蘭雪軒という人がいて、これも有名な女流漢詩人です。腹違いの兄弟・許ヨブなるものがいて日本に来て豊臣秀吉に会っています。優秀な一族であったのでしょう。
日本との関係はなんと言っても「倭寇」です。1510年「三浦の乱」というものが起こっています。釜山以外にも、蔚山近くに三浦という港があり、そこの日本人居留地ができていました。それらが大暴れをして朝鮮官兵に取り締まれています。それ以外にたびたび対馬から日本人が来て朝鮮沿岸部を略奪しています。業を煮やして、朝鮮王朝は軍を対馬まで派遣し、何百人かを切り、そこで奴隷として使われていた中国人を解放したという記事も載っています。南では倭寇、北では女真族の遊牧民の侵入で、その当時の朝鮮は頭が痛かったでしょう。
この本で最も面白いのは何と言っても暴君「燕山君」でしょう。韓国ドラマでも見ましたが、古代ローマ帝国のネロにも劣らぬ、人間の幅を広げたキャラクターです。ネロの母もすごかったが、燕山君の母もすごかった。朝鮮三代悪女の一人です。呪いをかけたり、毒薬をもり人を殺したり、あまつさえ王様・成宗の顔を引っかいたりしています。とうとう賜薬されてしまいます。つまり毒薬を飲まされたのです。はじめ何も知らなかった燕山君は王になり、自分の母親のことを知ることになります。それで自分の母親を自死させることに賛成した儒学者や、父の側室など殺し始めます。彼をかばってくれた祖母までも頭突きを食らわし、それがもとで死んでしまいます。宮殿にあった大学のキャンパスをキーセンの学校にし、全国から美女を呼び集め、日夜淫蕩な生活を繰り広げます。クーデターが起こり、島に流される途中殺されてしまいました。なんとも凄まじい人生をおくったものです。
現在でもコロナウィルスにかかった自国民である韓国人帰国者に空港で卵を投げつけるくらいですから、韓国人の劇場型性格はますます発展し、今回映画でアカデミー賞を取ったようにエンターテイメントの世界で大いに期待できそうです。