忍者ブログ

読書

鈴木則文 下品こそ、この世の花


    芸術など大それた考えをしなくて、映画会社の命じるままに映画を作ってきたのが鈴木則文です。観客動員数が多ければ、次の仕事ももらえ、社での地位も上がっていきます。「トラック野郎」や藤純子の「緋牡丹博徒」のシリーズを作ってきました。

藤純子の生い立ちは、京都のスナックのママ「お染」が書いた自伝に出ています。藤純子の父俊藤浩滋は京都の東映に何かあやしげな人材として、ヤクザにもつながりのある人物です。プロジューサー的なことをしていたのでしょう。お染を愛人にして、この愛人の言うところ、俊藤の妻やその子の純子の金銭的に世話もしていたと書いています。このお染さんはバブリーな時期に店をやっていたのですから、最盛期には東京の銀座にも店を出し、毎週飛行機で京都東京を行ったり来たりしていたと言っています。いくらでも当時はカネが入ってくるのですから、愛人の嫁や子を養うくらいなんとも無かったのでしょう。

東映の社長で、岡田茂という広島出身の人がいます。東大を出て、映画界に入った人はこの人が初めてではないかと思われます。はじめは助監督のような使い走りをしていましたが、本物のヤクザをもたじろがせる広島弁を駆使し、東映を一大ヤクザ路線の映画配給会社にしてしまいました。鈴木則文も岡田茂から、「己の足らざるを知り、直ちにそれを学べ」という訓戒を与えられて、やはり東大は古典を直ちに引用できる、素晴らしく頭の切れる人だと思っていましたが、この古典的な文章には出典がわからないで、結局は岡田の思いつきの言葉でなかったかと言っています。

最近衰退する日本といわれますが、特許件数も論文の件数も徐々に減ってきていて、もはや中国や韓国に追い抜かれているようです。岡田茂のような破天荒な人が多く出てこないと、日本もこの先危ういというほか無いでしょう。

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R