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読書

非日常実用講座 スーパーロボットの動かし方


    この本は1997年、今から20前に出版されたものです。あとがきにこう書いています。

「最近、チェスの世界チャンピオンがIBMのコンピュータに敗れるという出来事もおきています。しかしチェスに勝ったのは何億ものシナリオを詰め込み、ものすごい計算機能で終盤の詰めのパターンに結びつける、力ワザタイプのコンピュータでした。ですから、取った駒が復活する将棋でまだ勝つことはできないし、さらにあいまいさや直感がものをいう囲碁では、コンピュータは人間にまったく歯が立たないでいるのです」

しかしたった20年でプロの将棋名人もコンピュータソフトに勝てなくなり、囲碁でも世界一の中国の碁の名人にも圧勝しています。さらに、その囲碁ソフトを上回るソフトもでき、今までのソフトは人間の対局を何万局も覚えさしたのですが、新しいソフトは、囲碁のルールを教え、三日間その囲碁ソフト同士で対局させたら、世界一の名人も破った囲碁ソフトをも上回って、負けることがなかったそうです。これら規則のあるゲームはもはやコンピュータにはかないません。最近のプロの将棋指しの若手は、ある特定な盤面から、コンピュータでその後のさし方を研究しています。人間の将棋では序盤にはある一定の形になることが多い。定石なるものがあるので、それに沿っていくとある盤面になりやすくなります。序盤から中盤に移行する盤面のところをコンピュータで解析し、詰めまで探ろうとしています。型にはまると研究したものは有利になります。どうも人間には致命的な欠陥があるようです。「学ぶ」とは「真似る」ということで、碁や将棋と同じようにある一定の形を覚えていくような脳の作用があるようです。つまりこれははっきり言って偏見を学ぶということになります。人間の思考はある枠がないと考えることができない仕組みになっているようです。その点コンピュータは偏見というものがありません。将棋名人に対して、将棋ソフトは初手32金という、将棋の初心者が指すような手を指しています。このような素人臭い手でも最終的には将棋名人に勝っているのですから、定石なんていうものは何だったのかと思ってしまいます。

鉄腕アトム、鉄人28号で我々団塊世代はロボットに開眼されました。しかし半世紀過ぎても、アトム、鉄人以上のロボットはできていません。ゲームソフトでは圧倒的に人間は負けていますが、ヨチヨチ歩きのアシモフでは私でも足蹴りして倒せそうです。私の生きているうちには鉄腕アトムは出てこないでしょう。

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