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読書

韓相一・韓程善 「漫画に描かれた日本帝国」


        明治、大正にかけて雑誌や新聞に表された漫画を通して、「日本帝国」の推移とそれに伴う日本国民の、他国民・韓国・中国・ロシアに対しての感情の変化を述べています。

韓国・朝鮮は鶏で現され、中国は豚で、ロシアは熊です。日本人は徐々に西欧顔になってゆきます。

欧米の白人種の論理である「文明と野蛮」を援用し、日本は文明であり、朝鮮や中国は野蛮な国であり、日本がこれらの国を教導しなければならないという使命感をもっていたということになります。といってもこの使命感は当時の植民地獲得の口実に過ぎません。欧米も遅れた日本も自国の利益のために他国を侵略していたというのが実情です。

日清戦争の勝利したときを境にして、「眠れる獅子」・中国が、怠惰な豚になります。日露戦争を勝利したときを境にロシアは白人から蒙昧な熊になります。戦争に勝つたびに、日本人は白人に近づいていくと幻想を抱いていたようです。朝鮮は料理される鶏で、古代の神功皇后から豊臣秀吉の念願が伊藤博文によってやっとかなえられたといった漫画もあります。しかし第二次世界大戦で日本はまたもとのサルに戻ったようです。その後アメリカに忠誠で、忠犬ハチ公になっています。北朝鮮が核をちらつかせていますから、アメリカの核の傘に頼らざるを得ない状況です。韓国との関係も、韓流もはやりましたが、同時に嫌韓もおこりました。この本では最近の嫌韓の漫画の表現に、かつて明治大正の時代の漫画の手法が取り入れられていると言っています。日本人は目の大きくて、顔も卵型、育ちのいい姿で描かれ、韓国人は目が細く、頬骨が張って、怒り狂っているおっかない顔つきになっています。たかが漫画でどうのこうのと言ってもと思いますが、漫画の描き方一つで、その国の国民の考え方が「無意識」のうちに表れているということで、へたをすると、フランスの新聞社がイスラムの主導者の漫画を侮辱的に描いたことでテロを受けるはめになるかもしれないのです。

この本は2010年10月13日にアップしています。二度読むこともまた楽しからずや。

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