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読書

飯山雅史 アメリカの宗教右派


    アメリカのある州では進化論を教えるのを禁止していたということがつい最近まであったということは驚きです。しかしこの本を読むと、すべてがすべて聖書の書いていることが真実であると思ってはおらず、カウンターカルチャーが行き過ぎ、フリーセックスが広がり、ロックの馬鹿騒ぎに嫌気が差した人が、宗教を介してそれらを是正しようとしたのであるということがわかります。この本の出版は2008年ですから、クリントンからブッシュにかけての時代を背景にして書かれています。中絶問題などで、医師などが殺されたりしていました。クリントンの時代は大きな政府を目指し、医療、福祉など大盤振る舞いをし、福祉の女王なるものもでき、とりわけ黒人の女性が何人もの私生児を産み、かえってそれが生活保護の受給にあずかり、安楽な生活ができ、ぶくぶく太っているという非難が白人の方から巻き起こっています。この非難もある面、勤勉なプロテスタントの宗教観からきているのかもしれません。オバマからトランプに移行したのも、公民権運動の成果から、黒人のほうが優遇されて、税金をたくさん払っている白人の方が返って逆差別を受けているという思いが白人層にあり、それが宗教組織票と絡まって、トランプに票が流れていったと考えられます。共和党は日本では保守だと思われていますが、この共和党は小さな政府を目指し、経済活動に規制をかけない、社会福祉は勤労意欲を失わせるのでやらない、税金は安ければ安いほどいい、政府など信用できないという党です。どうも日本の保守というイメージから遠いものです。リベラルと言われるエスタブリッシュ主導の民主党も、かつて1930年代ニューディール政策時代は南部の低所得者層が支持者で、反対に当時のエスタブリッシュたちは共和党支持者たちでした。紛らわしい変遷があるということで、その当時の問題によって、コロコロと政党色が変わっていくのでしょう。その骨幹に、もはや宗教心はないが、形骸として残っている組織が暗然と影響を与えているというのがアメリカ政界の裏にあるのでしょう。

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