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馬上駿兵 文豪たちの「?」な言葉

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馬上駿兵 文豪たちの「?」な言葉


        バルザックをベルサイユの庭園というなら、芥川龍之介は盆栽ということになるでしょう。ぶくぶくと太ったエネルギッシュなバルザックと対照的にヤセの龍之介。龍之介が長編を書けなかった理由がわかるようなきがしてきます。体力的に無理だということと、この本でも書いている通り、細部にこだわりすぎるということで、衒学的教養でみなを驚かしてやろうとするのが見え見えです。たとえば「素戔嗚尊」のなかでスサノウが命令する言葉を「しれい」と書かれています。出雲弁風に模しているのです。出雲弁では本当は「せれ」ですが、みんなに分かりやすいようにと「しれい」としたのではないかと説明しています。また「えらぐ」と書いていて、これは「えむ」(笑う)という意味ですが、使われたのは遠く万葉集時代や平安時代です。大正時代でもわかる人は分かったでしょうが、一般の人は使うことのない言葉です。また「鼠小僧次郎吉」のなかで「ひってん」という言葉を使っています。これもまさしく鼠小僧に生きていた江戸時代に使われていて大正時代ではたいていの人が知ることがないものです。意味は貧乏ということです。このような細かいことに気を使った龍之介はこれだけで精力を使い果たしたのでしょう。これでは時代の潮流を書き留める巨大長編など書けそうにもありません。

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