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黒田日出男 洛中洛外図・舟木本を読む

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黒田日出男 洛中洛外図・舟木本を読む


        同じ絵を見るにしても、知識を持っているのとないのでは見方が大幅に変わります。ピカソの絵を見て、ピカソについて何も知らないのなら、小学生のガキの描いた絵にも劣るなと思うことでしょう。ところがこの絵が何十億円もするのだということを知っていると、ウヒャー、これはすごいということになります。屏風に書かれた洛中洛外図を見ても、知識があまりないなら中世の京都のことが描かれているのだというくらいしか思わないでしょう。でもいろいろなことの知識があれば、この絵の中で関連付けられて、とうとうこの絵の中に注文者の人物まで発見し、名前も特定されてしまいます。

まず遊女屋の暖簾から年代が特定されます。豊臣政権から徳川政権に変わった頃で、京都の商家では隠れ豊臣ファンが多かったことが分かります。屋号に「寶」と「光」がつけられ、これは「豊公」さま・豊臣秀吉のことです。おまけに秀吉の最初の妻の高台院が花見帰りで五条橋の上で踊っている姿も描かれています。

当時京都の事件で、不良公家と宮中女官の桃色遊戯が発覚し、不良公家に死罪、女官は遠島になりました。これを期に公家諸法度が徳川政権によって作られたそうです。これに関わった京都所司代板倉勝重もこの絵に記載されています。

この絵の作者は岩佐又兵衛で、注文者は呉服屋の笹屋半四郎であるといっています。大店の旦那であり、この絵の中では裏庭に若松を眺めている、頭が坊主として描かれています。当時はやっていた「市中の山居」という風上で描かれ、ここでわびさびを感じながら、同時に近くの遊女所にも通う通人であったということになります。

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