忍者ブログ

読書

芥川龍之介 正岡子規

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

芥川龍之介 正岡子規


        子規が夏目漱石と散歩している時傍らの稲が後に米になることを漱石は知らなかったということに驚いています。龍之介はこのことを夏目先生に問いただしています。夏目の返答は「坊ちゃん」そのものです。負け惜しみの強い言い草です。

「僕も稲から米がとれる位のことはとうの昔に知っていたさ。それから田圃に生えている稲も度々見たことはあるのだがね。唯その田圃に生えている稲は米のとれる稲だということを発見することができなかったのだ。つまり頭の中にある稲と眼の前にある稲との二つをアイデンティファイすることが出来なかったのだがね。だから正岡の書いたことは一概に嘘とも云わなければ、一概にほんとうとも云われないさ。」

「アイデンティファイ」できなかったことは知らないことと同じです。

龍之介は夏目の負け惜しみの強さの例をもう一つあげています。面白いので龍之介の文を写します。

「それから又夏目先生の話に子規は先生の俳句や漢詩にいつも批評を加えたそうです。先生は勿論子規の自負心を多少業腹に思ったのでしょう。或時英文を作って見せると――子規はどうしたと思いますか?恬然とその上にかう書いたそうです。――ヴェリイ・グッド!」

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R