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人体が薬になる時代があったのです。生きた人間の肝臓がハンセン病に効くということで、その患者が子供を殺して肝臓を食った事件もあります。また脳みそは難病に効くということで食べられていました。火葬場でその係員が脳みそを抜き取って売っていたのでしょう。また人体の黒焼きも万病に効く薬だと思われて、それを商売にしていた人もいます。調理人が友を殺し、ばらばらにしたついでに、ももをステーキにして食ったのですが、とても臭くて食えなかったと証言しています。中にはうまいという人もいますが、人間が人間を食うということは気味の悪いことです。サルだって食おうとする気が起こりません。魚ぐらいでシゴウするには何ら良心の咎めはありませんが、生きているニワトリをシゴウするには勇気がいります。パックに入っているから鳥や四つ足の動物の肉を食べられるのであって、自分の手で殺した動物の肉は食うことができないでしょう。最近猫などをいじめ殺していてそれをYou Tubに載せていた人がいますが、これはまともな精神ではないようです。このようなことから人を殺してしまいたい気持ちになるのでしょう。
ヤクザとは利に敏い人間であると鈴木智彦は言っています。強いものには弱く、弱いものには強いといった、無駄な戦いをしないのがヤクザのプロで、無益な戦いをするのがヤクザのアマチュアだそうです。戦後すぐの学生上がりの愚連隊などケンカが好きなだけの連中であり、いくら数が多くても、やがては飛散します。その点プロのヤクザは敵対するヤクザとの比較をし、勝ち目がないとわかると、早めに手打ち式を心掛けます。小指を切り下ろし、相手に恭順な態度を取り存続を許してもらいます。広島や呉のヤクザは、「仁義なき闘い」を見る限り、すこしアマチュア部分もあります。この地のヤクザは面子をすこぶる重要視するので、無駄な殺人がおお過ぎる。人は田舎者に限って、いい格好をしたがるのです。でも話す言葉は広島弁で、「おどりゃ、すどりゃ」で格好いいものではありません。相手をビビらすにはぴったりとした言語でしょう。私も東京にいた時、「広島じゃけん」と言ったら相手は少し引いたようです。
本書は二部に分かれ、一部でエタ、非人など身分制度の埒外にいる人々の解説と、近代になっての貧窮者との関連を説明しています。二部ではヤクザという存在を一部で説明した人々との関連を含めて説明をしています。ここに通貫するものは、貧しさということです。いずれにしても食えなくなると、人はみな犯罪をするということです。そうかといって豊かになれば犯罪をしないというわけではなく、もっとスマートに犯罪に見えないような金儲けをしているということになります。貧乏人の犯罪は金満家と比べて「せこい」とか「やぼったい」ということになります。ついこないだのバブルで、数兆円もの借金を踏み倒したヤクザにしても、カネがさが大きくなったと言っても、やっていることは恐喝殺人など江戸時代からやっていることばかりです。本来的にはプロレタリアートの一員なのですが、プロレタリアートとまるっきり反対の右翼をかたり、あわよくば現政権のお目こぼしにすがり、締め付けを緩めてもらっているという感じさえします。数年前までは政治家の葬式にヤクザの親分の花輪が並んでいたものです。今は暴対法でヤクザは陰に隠れてしまいましたが、オレオレ詐欺のように、相変わらず貧乏人をリクルートし貧乏人からカネを巻き上げようとしています。これらの大本はヤクザが取り仕切っているのでしょう。
やはり印象深いのは中学生ころと高校生頃が一番テレビの影響を受けた。NHKではお笑い三人組、バス通り裏、夢で逢いましょう、ジェスチャー、私の秘密、大相撲、民放では、金曜日から始まって、ディズニーワールド、プロレス、土曜日の昼には藤山寛美の舞台中継、夕方の6時になると、てなもんや三度笠、続いてシャボン玉ホリディ―、これらが終わるとまた月曜日が来るのかと思って憂鬱な気分になったものです。落語や漫才の寄席中継もよく見たものです。紅白歌合戦は家族全員で見るのが恒例で、母が途中で年越しそばを作ってくれていました。本当に幸せな時期でした。それから後のテレビの影響はコント55や、ビートたけしなどで、30歳を過ぎてからはテレビを好んで見るということはなくなりました。同時にその頃から芸能界のタレントの名前もとりわけはやった人しか覚えがなく、関心がなくなりました。70代半ばの今、テレビはニュースしか見ません。面白いものがないのです。好奇心もなくなりました。日々生きているのが精一杯です。
今見ると煩わしいと思えるコマーシャルも年十年前のコマーシャルは懐かしいと思う。藤田まことの「当たり前田のクラッカー」、植木等の「何である?アイディアル」の傘の宣伝。レナウンの「イエイエイ」と連呼して美人のモデルが闊歩するCM、「ウー、マンダム」と唸るチャールズ・ブロンソン、三船敏郎の「黙って男はサッポロビール」、西城秀樹のバーモントカレー、アラン・ドロンも何かの宣伝に出ていました。
この本ではトランキライザーや食品添加物の宣伝までしていたということで、昭和はどんな時代なのかと思ってしまいます。高野光平に言うところ、この頃の日本は進歩と拡大の狂騒の時代であったということです。トランキライザーや食品添加物は負のイメージはなく、反対にこれによってよりよい生活ができると言った確信にみなぎった時代ということです。